【セミカスタム記事】4. VoCデータを価値に変えるソリューション3:パーパス可視化AI

VoCデータを価値に変えるソリューション3:パーパス可視化AI

この記事でお伝えしたいこと

  1. パーパスを策定したはいいものの、実際に浸透しているか、次の一手をどうするかお困りの企業様へご支援を致します。
  2. 豊富な実績を持つInsight Techのパーパス可視化AIにより、パーパスを価値軸に構成する要素に分解し、ユーザー等への浸透度をスコアリングします。
  3. 浸透度の可視化に加えて、パーパスに沿った話題の把握や定期的なモニタリングによる波及効果の検証及びこれに基づく打ち手の企画が可能となります。

1. 背景

策定したパーパスが浸透しているか把握していますか?

皆様は「パーパス・ウォッシュ」という言葉をご存知でしょうか。 企業が社会の中での存在意義を見出した上で、社会へ貢献していくパーパス経営ですが、パーパスを掲げたものの、企業の実態が伴っておらず行動と別の方向を向いてしまっている、浸透していない状態のことを指します。企業側からもどれだけパーパスが浸透しているのかわからないので、次のアクションに繋げられない。そんなお悩みに対して弊社が課題解決の示唆を見出します。

パーパス経営事例

数多くの企業がパーパス経営に注目した背景としましては、アメリカ最大規模の経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が企業のパーパスにおける宣言を、2019年8月の会議で株主の利益中心の考え方より事業に関わる全ての関係者(従業員、生活者、取引先、コミュニティ、株主等)に価値提供をする責任があるという内容で行ったことにも起因します。

国内では

  • ソニーグループ株式会社は2019年から先んじてパーパスを掲げ、CEO室、人事部、ブランド戦略、広報部一体となった事務局を作り、CEO自らが語るだけでなく、事業のマネージメント層へも事業戦略とパーパスの関連付けで話したり、パーパスを社員自身に置き換えた場合にどう日々の業務に実践してもらうか、自分ごと化してもらう文化が醸成されています。また、コロナ禍で提供ゲームサービスのアクセスが急増する中、社員のモチベーション維持や、業績が最高益になるなどアクション・結果に繋がっています。
  • 味の素株式会社では2023年にはパーパスを「アミノサイエンス®で、人、社会、地球のWell-beingに貢献する」に進化させた上で、従業員個人と組織の関係性を高め合うことによりASV指標の達成に向けて取り組みを行っています。社内では「とことんASV」と議論をするときに全員があらゆる施策をASV関連付けています。人事部からは若手社員と話したい中堅社員を募る取り組みもあります。社員のエンゲージメントの向上が業績の間に高い相関があることも分かっています。
  • 東京海上ホールディングス株式会社では『お客様や地域社会の“いざ”をお守りすること』をパーパスとして掲げ、D&Iで一人ひとりが自分らしくなりたい姿になることと、会社の向かう矛先やパーパスに合致している姿を見据えて個人や組織が成長していくことにより会社の価値を高めていく取り組みを実施しています。具体的なアクションとしては「マジきら会」を始めとした、D&Iの推進、アンコンシャス・バイアスの払拭、ジェンダーギャップの解消、働き方の柔軟性の向上などがあります。
  • 花王株式会社では2023年に自社商品のブランドパーパスを浸透させるために生活者との情緒的な絆を結ぼうとする取り組みであるブランドコミュニケーションがなされています。具体的なアクションとしてはシャンプーのブランド「サクセス」を用いた理容室をOPENし、従来のイメージのフレッシュさよりも、「サクセス(成功)」の意味に立ち戻り定義を見直して、男性が自己肯定感が低いという調査結果に基づき前向きになってもらうという機能的価値以上の価値を打ち出すブランドコミュニケーションを行なっています。
  • 株式会社LIFULLは60カ国以上でサービスを提供し事業拡大するのにつれて提供する価値に注目し、ブランドパーパス「あらゆるLIFEを、FULLに。」を明文化しています。またブランドパーパスの発信のためにブランドムービーも制作しています。ブランドムービーの中では「しなきゃ、なんてない。」というコンセプトを伝えて自分らしい生き方を貫く人々が見せる姿から、企業CMというより、見る人を勇気づける、社員も好感を抱くというインナーブランディングという観点でも意味のある施策となっています。
  • ダイキン工業株式会社ではCMO Japan Summit 2023にて「空気で答えを出す会社」をブランドパーパスとして換気の悩みに向き合う情報発信をオウンドメディアで換気方法をわかりやすく紹介するコンテンツをPRリリースやSNSで発信を行うことでSNSでの話題醸成やテレビでの取り上げなどPRアワードグランプリも受賞されています。

といった様々な業界で経営層の発信に留まらず、広報、人事、ブランド戦略部を中心として、社員にとっても自分ごと化され、事業に関わる関係者への価値提供に繋がっている事例が多々あります。

2. パーパス浸透における次の一手の発見に向けた「パーパス可視化A I」

パーパス浸透度を可視化する

様々な業界の企業でパーパス経営が取り入れられている事例をご紹介致しましたが、パーパス経営を導入されている企業全てで成功しているかどうかは言えないのが実情と思われます。そこで、冒頭で説明した、パーパスの浸透度が見えないという課題を解決するのがInsight Techのパーパス可視化AIです。

パーパスそのものは非常に抽象度が高い概念であり、アンケート調査で「弊社のパーパスに共感しますか?」と問われたとしても回答判断が難しく、浸透度の評価に偏りが生じてしまう可能性があるという本質的な課題を含んでいます。

Insight Techは、生活者・ユーザーがその企業や商品に関して発話しているバイアスがないVoCの内容からパーパスの浸透度をモニタリングすることが出来れば、課題解決に繋がるのではと考えました。そこで開発したのが「パーパス可視化AI」です。

例えば「私たちは、健康を守り、安全で安心できる環境を作り出すことで、人々が笑顔で過ごせる毎日をサポートします。」といったパーパスに対して「①健康の基盤」のような価値軸(企業のパーパスを象徴する表現)に表現した上でスコアリングすることで抽象的な概念のパーパスを定量化することが可能です。

扱うVoC(お客様の声)の対象は「①弊社不満買取センター※1に寄せられた投稿内容」のほか、「②SNSなどのオープンデータ」、「③各社保有の問い合わせデータや自由記述の社員アンケート等」で、設定した価値軸に当てはまる内容かどうかスコアリング結果で把握できます。

各投稿に対して価値軸ごとにスコアが付与されるため、定期的に可視化する中で価値軸ごとの浸透度の変化を把握することが可能となります。

パーパス可視化AIを導入するメリットは?

Insight Techのパーパス可視化AIを導入するメリットは3つございます。

1点目は文字通り、パーパス浸透度を可視化できることです。企業ブランドのどの価値軸が伸びているかということが一目でわかります。

例えば、上記図の実現可能な世界観の例として、とある企業のパーパスの価値軸が「①健康の基盤」「②安全・安心の提供」「③楽しい日々」「④食卓の笑顔」「⑤先駆け」の5つの価値軸に分けることができた際に当該企業では「③楽しい日々」に関する言及が多く含まれている特徴をもつということがわかり、これを強みと捉えた戦略や戦術の企画が可能となります。

2点目はパーパスに沿った話題発見が可能ということです。こちらは「③楽しい日々」に関する言及のうち、高スコアになっているVoCに着目することで、オケージョン(生活者の具体的な行動や場面)を把握し、話題を発見できます。実際弊社導入企業のうち、VoCの高スコアのN=1に着目することで、ブランド担当者が想定していなかったオケージョンの示唆出しを行えたという事例もございます。

3点目はモニタリング・効果検証が可能ということです。時系列比較を行うことで同じ価値軸でのスコア変化をモニタリングすることができます。こちらは新商品やプロモーション戦略を打ち出した際に、狙った通りに生活者からの反応が得られたかどうかという効果検証にも用いることができます。

この3点のメリットより、事業戦略やコミュニケーション戦略における意思決定につながると考えております。

3. 導入した事例

パーパス可視化AI導入例

実際にパーパス可視化AIを導入した味の素株式会社様での事例をご紹介致します。

  • 背景)味の素グループのASV経営において4つの支援価値・6つの貢献価値を向上させる取り組みを行なっている
  • 課題)当初は年度ベースリサーチでブランドの調査を行なってはいたが、短期間での把握が難しい現状
  • ソリューション)弊社不満買取センターのデータを含む各種データにパーパス可視化AIを導入することで、6つの「貢献価値」の浸透度をより短期間で定量化し更なる価値浸透に向けて現状・課題感を把握できる枠組みができる

浸透度の可視化の枠組みができるようになっただけでなく、貢献価値が高く実感されているVoCに注目する中で生活者目線でのオケージョンの発掘から次へのアクションの示唆出しに繋がった取り組みで、2023年度の試験的運用で1年間ご一緒しており、2024年度より本運用を開始している事例です。

VoC活用のInsight Tech、パーパス・理念の浸透度をAIで定量化する「パーパス可視化AI」を味の素㈱に提供開始

4.パーパス可視化AIの応用・横展開

インナー(社員)及びアウター(外部)へパーパスを浸透させるための躓きポイント

浸透する対象としてインナーとアウターの大きく2種類が考えられます。株式会社日本経済社が2022年に実施したパーパス策定に関する実態調査(N=400)によるとそれぞれで課題感が表れております。

インナー浸透においては「社員からの評価」が最も高く、結果的に、特定の部署に偏っていたり、経営、業務の意思決定といった実際の行動に繋がっていないことも躓き要因になっていると読み取れます。

アウター浸透においては「外部への説明が難しい」が最も高く、また目的や効果が不明瞭のため、発信することに躊躇ってしまうことも要因になっていると読み取れます。

浸透度可視化に重点を置きつつも、実態調査の結果より、インター及びアウターの浸透において実際のアクションに繋げる箇所や、社外への発信とその効果検証の部分についても、踏み込んで伴走させて頂くことも可能です。

浸透度可視化だけでなく、次の施策まで一貫して行いたい

パーパス可視化AIによるアクションの方向性の示唆出し以外にも、パーパス策定を含むブランディングの方向性や実際にアクションを行う施策部分においてトータルでサポートをお望みの企業様には株式会社博報堂との共同で開発した「パーパス・アクション・サイクル」のご提供が可能です。

  • SNSのデータをパーパス可視化AIで商品ブランドの価値浸透を把握した結果、特定の価値軸で変化が見られたことに着目した企画を打つことでSNS上での反響があった事例
  • アンケート調査や外部評価コメントを用いて組織のブランドステータスの浸透度を把握した結果、組織のエンゲージメントが高い層の声を解像度高く把握できており、ワークショップでの活発な議論がエンゲージメント向上に繋がった事例

Insight Tech、博報堂と共同で業界初(*1)のAIによるパーパスの浸透状況を可視化・行動推進する「パーパス・アクション・サイクル」を開発

動画クリエイティブを活用してパーパスの浸透を加速させたい

先のパーパス経営事例の株式会社LIFULLのように社外への浸透方法の一つとして、企業の伝えたいコンセプト(思い)をストーリーとして紡ぐ映像作品(Branded Movie)を発信することも可能です。

国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル 2023」において、共同開発した株式会社ビジュアルボイス 別所 哲也氏が登壇し、映像作品を対象にAI フィルム・ドクターの活用結果を発表いたしました。

  • 脚本の時系列に沿って伝えたいコンセプトに合致した言及がされているかの評価
  • 映像作品を視聴した生活者の感想コメントからどの観点でコンセプトと共鳴され、ロイヤリティに寄与したかの効果検証

AIフィルム・ドクターは「シーン1:映像作品を視聴した生活者が企業側に伝わることから見える効果的なロイヤリティ向上」の他にも、「シーン2:脚本を作成するクリエイターのポートフォリオ作成」や「シーン3:企画される映像作品のコンセプトにマッチしたクリエイターを発掘すること」も可能であり、企業、生活者、クリエイター等のサービスに関わる全ての関係者を繋げる「声」×「ストーリー」×「映像」で一歩先のマーケティング強化・ブランディングを実現できる業界初※の取り組みです。パーパス経営における主に企業の広報活動に取り組む方々にお力になれれば幸いです。

Insight Tech、ビジュアルボイスと共同で文章解析AIを用いてBranded Movieの企画・制作~効果検証を一気通貫でサポートする「AIフィルム・ドクター」を開始

パーパス可視化AIの枠組みを使って商品や人の特徴を捉える視点での課題解決も可能です

ブランドやパーパスに限らず、商品や人の特徴を捉える視点でも、パーパス可視化AIをお役立てできます。

エン・ジャパン株式会社の導入事例では、

  • 背景)当初自社特有の適性検査を実施しているため、求職者の価値観や行動を把握できている
  • 課題)適性検査を実施していない求職者には把握が難しい一方中にはプロフィールのテキスト情報が豊富な求職者も一定数存在する
  • ソリューション)既存のツールに加えて観点とそれに紐づく価値観の項目をスコアリングしサービス追加として実装

既存のサービスに求職者の特徴を捉える検索ロジックを追加することで、より採用したい人材にフィットする特徴を捉えて検索できるようになりました。

この取り組みからも、パーパスに限らず企業側の提供するサービスの中で、価値観や特徴を表す表現が存在し、把握したい対象のテキストデータをお持ちであれば、ご希望の観点によって特徴把握が可能です。業界問わず生活者(ユーザー)の声をテキストから把握することが事業の課題解決につながるとお考えの担当者様方向けのご支援となります。

iroots(アイルーツ)- 新卒学生のための就活スカウトサイト|就職に最適解を。

5.まとめ

パーパス経営において、企業のパーパスは抽象的な概念であるため、ユーザー等にどれくらい浸透しているのかを把握するのは難しいです。「パーパス可視化AI」を導入することで、ユーザー等へのパーパスの浸透度を企業側からのバイアスがない自然な発話から把握することができます。パーパスの浸透度の可視化から、パーパスに沿った話題発見、効果検証まで、企業はパーパスを単なるスローガンではなく、実際の行動に結びつけることが可能です。適用領域についても経営層に留まらず、広報、人事、ブランド戦略部を中心とした方々にもお役立てできますし、多種多様な業界へ適用可能です。また、パーパスに限らず、商品や人の特徴を捉える取り組みをお考えの方にもお役立てできます。導入実績も豊富です。

ご関心をお持ちの方は、以下よりお気軽にご連絡下さい。
Insight Tech ‐ お問い合わせフォーム

ご相談自体は無料ですので、貴社の経営課題や事業課題といったお困りごとを丁寧にヒアリングさせて頂いた上で、 パーパス可視化AIの導入事例についても詳細をご説明させて頂きます。それではご連絡お待ちしております。



※1:不満買取センター(https://fumankaitori.com

※2:弊社調べ。文章解析AIを用いて脚本の情緒的表現を評価するとともに、同じ尺度で観客の感想をする商用化事例として。

Date
2024.9.10
Category
コラム
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2012年6月設立。不満買取センター運営。

マーケティングリサーチを通じ商品・サービス強化・ブランディングを支援。

独自の自然言語処理技術を活用し、

AI(人工知能)モデル構築からシステム開発・運用までをワンストップで提供。

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